フードマイレージとは?子どもと考える食と地球のつながり
私たちの食卓に並ぶ様々な食材は、一体どこからどのように運ばれてくるのでしょうか。遠く離れた国から海を越えてくるものもあれば、自宅のすぐ近くで採れたばかりのものもあります。持続可能な食生活を考える上で、この「食材が運ばれてくる距離」に着目する考え方が「フードマイレージ」です。
フードマイレージとは何でしょうか?
フードマイレージとは、食料の輸送量(トン)に輸送距離(km)を掛け合わせた数値で、食料が生産地から消費者の食卓に届くまでの間にどれだけのエネルギーが消費され、環境に負荷がかかっているかを示す指標です。
この数値が高いほど、輸送に多くのエネルギーが使われ、その過程で二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが多く排出されていると考えられます。食品を運ぶ飛行機や船、トラックなどからの排出ガスは、地球温暖化の一因となります。私たちは日々、意識することなく、遠くから運ばれてきた食品を選んでいるかもしれません。
フードマイレージが高いことの課題
フードマイレージが高いことには、主に以下の課題が挙げられます。
- 環境負荷の増大: 食料の長距離輸送は、輸送手段からの温室効果ガス排出量を増加させ、地球温暖化を加速させる要因となります。
- 資源の消費: 輸送には大量の化石燃料が消費され、これは有限な資源の枯渇につながります。
- 食の安全性や鮮度への影響: 遠方からの輸送では、鮮度を保つために冷凍・冷蔵技術や防腐剤などが使用されることがあります。また、輸送中に品質が劣化する可能性も高まります。
- 地域経済への影響: 輸入に頼りすぎると、国内の農業や漁業が衰退し、地域の経済活動が停滞する可能性があります。
フードマイレージを意識するメリット
フードマイレージを意識した食材選びには、多くのメリットがあります。
- 環境保護への貢献: 温室効果ガス排出量を削減し、地球温暖化の抑制に貢献できます。
- 新鮮で質の良い食材の選択: 輸送距離が短い食材は、収穫されてから食卓に届くまでの時間が短く、より新鮮でおいしい状態を保っていることが多いです。
- 地域経済の活性化: 地元の生産者から食材を購入することで、地域の農業や経済を応援し、活力を与えることにつながります。
- 食育の機会創出: 子どもたちに、食材がどこからどのように来ているのか、なぜ地元の食材を選ぶことが大切なのかを教える良い機会となります。
家庭で実践できるフードマイレージ削減のヒント
日々の食生活の中で、フードマイレージを削減するためにできることはたくさんあります。
- 地産地消の食材を選ぶ: 最も効果的な方法の一つです。地域の直売所やスーパーの地場野菜コーナーなどを積極的に利用しましょう。
- 旬の食材を積極的に取り入れる: 旬の食材は、ハウス栽培などに比べてエネルギー消費が少なく、栄養価も高くておいしい場合が多いです。
- 買い物時に原産地を確認する: 商品の表示を確認し、できるだけ国内産、特に地元産の食材を選ぶ習慣をつけましょう。
- 食品ロスの削減: せっかく手に入れた食材を無駄にしないことも重要です。計画的な買い物、適切な保存、使い切りレシピの活用などを心がけましょう。
- 家庭菜園やベランダ菜園の検討: 自宅で野菜やハーブを育てることは、究極の地産地消です。子どもと一緒に育てることで、食への関心も深まります。
子どもと一緒にフードマイレージを考える食育
子どもたちにフードマイレージの考え方を教えることは、持続可能な社会を築く上で非常に重要です。難しく考える必要はありません。日常生活の中で、楽しく学べる機会を作りましょう。
- 絵本や地図を活用した学習: 食材がどこから来るのかを描いた絵本を読んだり、世界地図や日本地図を使って食材の産地を探してみたりすることで、地理や環境への関心を育めます。
- 買い物での「産地当てクイズ」: スーパーで食材を選ぶ際に、「これはどこでできたお野菜かな?」「この魚はどの海から来たのかな?」といったクイズ形式で、原産地を一緒に確認する習慣をつけましょう。
- 家庭菜園を通じた体験: 野菜が育つ過程を実際に体験させることで、食料生産の大変さや喜びを学び、食べ物を大切にする気持ちが育まれます。
- 調理のプロセスで食材の背景を学ぶ: 調理中に、「このニンジンは〇〇さんの畑で採れたんだよ」といったように、食材の背景にある物語を話して聞かせることも有効です。
- 食卓での会話の機会: 「このお魚、今日は地元で獲れたんだって」「旬の野菜だから栄養がいっぱいだよ」など、食事の際に食材について会話することで、自然と食への意識が高まります。
まとめ
フードマイレージは、地球環境と私たちの食生活が密接につながっていることを教えてくれる大切な視点です。食料がどこから来て、どのような道のりを経て私たちの食卓に届くのかを知ることは、子どもから大人まで、持続可能な未来を考える上で不可欠な知識と言えるでしょう。
日々の小さな選択が、地球の未来に大きな影響を与えます。今日からできる一歩として、フードマイレージを意識した食材選びを始めてみませんか。それは、食の安全やおいしさにもつながり、食卓がより豊かになることにも繋がります。